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「この度は村の皆を救って下さり、本当にありがとうございました」
とある山深い村の中、村民総出で感謝を伝えられるリザードンは何処か誇らしげな表情を浮かべつつも、表情を崩さないように努めていた。
そのリザードンは所謂冒険者。
悩める人々の悩みの種を取り除くのが仕事。
身体には無数の古傷をこさえており、長くその仕事に身を置いているのが分かる。
その日も一仕事を終え、ささやかなもてなしを受けて後は身体を休めるのみといった所。
そこで宿を営んでいるエンニュートが是非とも一泊していってほしいと申し出た。
「英雄様からお代など戴けません。是非今日はゆっくりと身体を休めて行ってください」
「ならありがたく利用させてもらおう」
既に村人達からもてなされた後という事もあり、そのままリザードンはまっすぐに貸してもらった部屋へと向かう。
普段から客を迎えるためにしっかりと整えられているであろう寝床に尻尾の炎が燃え移らないよう耐熱袋を被せて早速身体を滑り込ませようとしたその時、戸を叩く音が聞こえて倒れ込もうとしていた重たい身体を持ち上げる。
「おや? 何か御用でしたかね?」
「お疲れの所申し訳ありません。ただ、かなりお疲れのようでしたので……よければこちらをいかがかと」
戸を叩いたのは他でもないエンニュート。
眠ろうとしていたのは承知しているため一度深く頭を下げた後、一つの水筒を渡してきた。
「これは?」
「疲れによく効くお茶です。飲んでから眠って頂ければ明日にはすっかり疲れも飛んでしまうので、よければと思って……」
「それはありがたい。是非頂こう」
リザードンが快く受け取ったのを見届けるとエンニュートは深々ともう一度頭を下げてその場を去った……が、当然ここまでは計画通り。
水筒の中身は自らの誘惑フェロモンを混ぜ込んだお茶。
宿屋を営んでいれば必然、好条件の雄と巡り会える確立が高くなるため、彼女が編み出した一つの戦略だった。
飲めばそれこそ間違いなく疲れは吹き飛ぶが、当然肉欲もムクムクと沸き上がってくる代物だ。
物腰柔らかに応対し、目星を付けた雄に渡していたのだが……残念ながらその成果は散々。
大抵の場合、受け取った時点でかなり怪しまれるせいで口をつけずにそのまま置いていかれることが多いが、受け取ったとしても案外そのまま外へふらっと飲みに出かけ、そこで別の雌を引っ掛けてしまう事も多々あった。
そのため今回は万全に万全を期して、飲んだ事を確認できるよう戸の前で荒い息遣いが聞こえてくるまで息を潜めて……。
「失礼」
「ひゃい!?」
その日の宿泊客は居らず、作戦を決行するには好機だったはずなのだが、慌てて振り返った先にはオンバーンの姿があった。
「あー……ご宿泊のお客様ですかね?」
「ああ、すみません。宿泊ではなく、ホムラというリザードンが今日この村に来たと思うんだが、何処に居るのか知っていたら教えて欲しいんだ」
「ホムラ様でしたらこちらに……!」
そう言うとエンニュートはすぐにその場を後にしたが、このパターンも何度か経験した。
冒険者はよく単独で行動しているため、逆に旅先で知り合いと出会うというパターンも少なくはない。
雄同士だから頃合いを見て……と思っても、何故か翌日異様に距離感の縮まった冒険者二人組を見て興奮しながらも歯噛みした事も数知れず。
今日こそ村の危機すら救ってしまうほどの凄腕の冒険者を侍らし、玉の輿に乗ろうとしていたが、それも叶わないらしい。
「お前……! 次同じ事をやったら倍は払わせるからな!!」
急に少々語気が荒くなった先程のリザードンが先をゆくオンバーンに文句を垂れながら部屋から出てきた。
「部屋まで用意してもらってすまないが、急ぎの仕事が入った。また今度立ち寄らせてもらうよ」
そう言うとリザードンは申し訳なさそうにカウンターに金貨を一枚置いて、足早に去っていった。
その後ろ姿を見届けた後、エンニュートは一つ深く溜め息をし
「なんでいっつもこうなるのよ~~!!」
そう叫んだが、悲しみの声は夜の闇へと吸い込まれていった。
その頃オンバーンとリザードンは月夜の下、目的地の別の村へと飛んでいた。
二人は同じ冒険者仲間であり、同時に腐れ縁の中でもあった。
というのも、同郷出身でそれなりに付き合いが長いのだが、それ故か面倒事をよく持ち込んでくる。
今回もようやくゆっくりできると思っていたところにかなり大きな救助の依頼があり、可能な限り手練の冒険者を集めた方がいいという事になり、現在に至る。
当然最初は猛反対したが、自分の報酬をいくらか渡した上で酒と宿代を出すという条件付きで仕方なく飲んだ形だ。
結局、名のある冒険者が多数集まったこともあって自体は早々に終結したが、それだけに尚更疲れがどっと押し寄せてきた気分を味わわされていた。
「なあツバサ。頼むから困ったら俺に頼るのを止めてくれないか?」
「実力を認めているからこそこうやって誘うんだ。それに懐も大分温まっただろ? 感謝してほしいぐらいだ」
「十分すぎるぐらいだよ……まったく……」
オンバーンはリザードンからすれば二つ年上になる。
いつか冒険者として旅立とうと小さい時から言い合って鍛錬を積んでいたためか、もうお互いに十分に大成したというのに未だに面倒を見てやっているつもりなのだろう。
そのありがた迷惑もあってリザードンの方は基本的に他のポケモンと組んで動かないようにしているのだが、逆にそれがオンバーンとしては不安の種のようだ。
何処まで行っても噛み合わない二人の考え方が原因で普段はよく言い争っているが、長く一緒に闘っていたこともあって戦闘面では黄金コンビとして知れ渡ってもいる。
「……んでだ。一つ質問してもいいか?」
「なんで同室なのかって質問以外なら受け付けるぞ」
そして現在、ようやくゆっくりできると思った矢先に何故か二人で同じ宿の部屋で寝る事になっていた。
「なんでお前と一緒に寝なきゃいけないんだよ!!」
「仕方ないだろう。大きな任務の後で多くの冒険者がこの宿を使ってるんだ。一緒に寝たことのない仲じゃないだろう?」
「お前と一緒なのが嫌だって言ってんだよ!!」
元々天然で先輩風を吹かせているオンバーンは素知らぬ顔。
逆に普段は温厚で他の冒険者や依頼者からも紳士的だと評される程のリザードンは逆にこのオンバーンの前でだけはいつも調子を乱される。
結局他に部屋も空いていないうえ、疲れも溜まっているため口論するのも止めてベッドに横になろうとしたが、そこでふとエンニュートから渡されていた水筒の事を思い出した。
正直肉体的な疲れよりも精神的な疲労の方がかなり溜まりつつあったが、どちらにしろ今は疲れを取ってさっさと眠りたいと考えていたため、迷わずそのお茶を口にした。
「お? 何飲んでるんだ?」
「なんだっていいだろ」
「別に一口分けてくれたっていいだろう」
「分かったよ! 一口やるからそれ飲んだら大人しく寝ろ! お前は床だからな!」
一度は無視しようとしたが、あんまりにも何度もせがまれるため諦めてオンバーンにもそのエンニュートの特製茶を飲ませ、すぐに眠ろうとしたが、当然眠るどころの話ではなくなった。
かなり疲れが溜まっていた事もあり、思わずリザードンの股間からフレアドライブがひょっこりと顔を出してしまう。
『……疲れを取るお茶だしな……そりゃ精もつくか……』
などと呑気に考えていたが、精がつくどころかエンニュートの特性媚薬を直接飲んでいる以上、少々勃ち上がっているどころの話ではなく既に元気に主張している。
眠りたくても悶々として寧ろ目が冴え、かといって処理したくてもこういう時に限って一人部屋ではない。
どうするか悩んでいた時にふとオンバーンも同じものを飲んでいる事を思い出した。
どうなっているのか様子を見たが、案の定そちらの方もただでは済んでいない。
というより意識を向けたことによって悪化した。
オンバーンの方からふわりと雌の匂いが流れてくる。
幼馴染で異性同士、やたらと距離感が近いオンバーンのせいもあってリザードンはよく仲間内にからかわれていた。
性を意識したことすらない間柄だったこともあってリザードンとしてはそういった色眼鏡で見られるのが嫌だった事もあって可能な限り距離を取っていたのだが、それが原因でかなり危険な状況を生み出してしまった。
リザードンからすればオンバーンの事は普段毛嫌いしている所はあるが、決して尊敬していないわけではない。
少なくともリザードンとしては姉に近しい存在だと認識しており、恐らく逆もそうであるだろうと思っていた矢先にこの本能に訴えかけてくる匂いは非常に耐え難い。
なんとか意識しないようにするが、意識しないのは意識しているのと同義であるため、否応無くリザードンの雄はどんどん猛ってゆく。
「なあホムラ。お前何を飲んだんだ?」
一番声を掛けて欲しくないタイミングでオンバーンの方から声を掛けてきた。
思わず心臓が大きく跳ねたが、起きているとは悟らせないように呼吸を落ち着かせる。
「寝たふりは止めろ。一口飲んだだけで身体が火照って仕方が無いんだ。それ以上飲んでたお前が眠れているはずがない」
「分かってるんだったらそのまま眠っておけってんだよ! なんでわざわざ声を掛けて……むぐっ!?」
振り返って言葉を返したその瞬間、リザードンの口へ細長い舌が滑り込む。
「な、何考えてんだ!?」
「え? そういう反応!?」
オンバーンとしてみれば、わざわざ二人きりの時にそんなものを飲んでいたのなら結論は一つだが、あくまでリザードンの方からすれば事故であって故意ではない。
それに周囲のからかいや自身の尊敬、歳の近い姉弟ぐらいの感覚でいた想い等々これまでずっと溜め込んで口にしないようにしていた感情がいっぺんに吹き出して思考は混乱していた。
「あんまり雌として扱ってもらえてないと思ってたが……お前としては私は嫌なのか?」
潤んだ瞳で少しだけ悲しそうにそう呟くオンバーンの姿は、今のリザードンから最後の理性を吹き飛ばすには十分な破壊力だった。
ガバリと身体を起こしてオンバーンの腕を掴み、そのままくるりと位置を入れ替える。
ベッドに押さえ付けた彼女の肢体はこれまで想像もしなかったほど彼にとって扇情的だった。
胸元の柔らかな羽毛に鼻先を押し付けて、肺を彼女の匂いで満たすほど吸い込み、胸元に舌を這わせる。
滑らかなウロコの上を舌が踊るとビクビクと身体が反応する。
傷を負いながら戦うリザードンとは対照的に、相手が気付く間も無く音速で現れて一撃で敵を葬るオンバーンは美しい姿のままだ。
だからこそ彼は彼女の戦い方に憧れ、泥臭い戦い方をする自分では不釣り合いだと心の中で勝手に思っていた。
「誘ったのは……お前だからな?」
「変な飲み物まで使ったのに?」
「あれはそもそも……! いや事故なんだけど……その……」
「先に言っておくけど、私はずっっっと誘ってたんだからね!」
少しずつ声が小さくなっていく彼を見て、彼女は少しだけムッとした表情を見せて思わぬ言葉を投げかけてきた。
憧れていたのも、姉弟だと思っていたのも自分だけで、とうの昔からあちこち連れ回していたのはそういう事だったのだと分かると、忘れそうになっていた猛りがもう一度雄を滾らせる。
尻尾の根元、雌の匂いを漂わせる元に自らの雄の匂いを放つ部分を当てる。
溢れ出る滑りが雄々しい槍の根元と触れ合うと、くちゅりと音を立てて僅かに雌の部分が押し広げられる。
腰をグッと引いて力を込めて押し出すと、その割れ目が熱を放ちながら大きく開き、ぐちゅりと水音を立てた。
互いの陰部が擦れ合う度に甘い刺激が襲い掛かり、熱く湿った息を絞り出す。
何度も何度も自らの物を擦り付け、次第に溢れ出した雄の匂いの素を彼女の雌の匂いの素と混ぜ合わせるように腰をくねらせる。
「挿れないの?」
焦らすような彼の腰使いに先に彼女の方が痺れを切らしたのか、そう口にした。
本心では今すぐにでもその汚れを知らない彼女の綺麗なピンク色の穴を自らの物で滅茶苦茶にしたい。
だが、もしそうすれば必然もう元には戻れない。
ここで止めれば元に戻れるという話でもないが、幼い頃から続く想いが最後のたがを外させない。
「もう少しだけ……」
焦らしたいわけではない。
寧ろ自分自身が焦らされているような感覚に陥りながらも、彼はそう口にした。
すると今までただ放り出していた彼女の大きな翼腕がそっと頭を包み込み、ギュッと引き寄せた。
それはいつかの遠い日、雨に怯えて震えていたリザードだった頃の彼を優しく包み込んでいた腕。
その腕が彼の顔を引き寄せ、鼻先を優しく舐めてきた。
自然と彼女の舌を辿るように彼もまた彼女の鼻先を舐め返し、静かにお互いの舌を絡め合う。
「私ね、いつもホムラに謝りたかった」
「え?」
唾液を混ぜ合わせ、互いの体温を分けあった後、彼女はそのまま不意にそう口にした。
「私はホムラみたいに逞しくない。だから一撃離脱でしか戦えないからいつも私の分までホムラに負担を掛けてた。……だから少し距離を置かれてるんだと思ってたんだよ?」
「いや……そういうつもりじゃ……」
「分かってる。だから抱いてくれてるんでしょ?」
そう言うと、彼女はいつも任務を終えた時のように可愛らしく笑う。
『音速の槍』と畏れられる彼女が決して任務の時には見せない、女性らしさ。
それを見る度に抱かないようにしていた感情が誤りだったのだと、素直に話を聞けば聞くほど思い知らされてゆく。
「……いいんだよな?」
辛抱ならんとでも言うように、自らの物を彼女に押し当てながらそう言うと、少しだけ顔を赤らめて小さく頷く。
にゅち、にゅちと音を立て、彼女の柔らかな腹の上を滑り、そしてその先端がついに彼女を貫いた。
ずぶりずぶりと自らの逞しい雄が彼女の雌を押し広げ、突き進んでゆく。
擦れ合う粘膜がこれまでとは比にならない程の快感を与え、そして同時についに繋がったのだという幸福感と満足感を与えた。
「痛くないか……?」
「……ちょっとだけ」
彼の問いに彼女は少しだけ顔を歪めて答えたが、それでも彼とようやく一つになったという満足感が大きいのか、同じように嬉しそうな表情を浮かべていた。
暫く互いに呼吸を整えた後、ゆっくりと腰を動かす。
彼女の内側が絡みつくように動き、突き動かす度にぐちゅりと音を奏でる。
甘い刺激が二人の中にまだ少しだけ残っていた羞恥心を溶かし、気が付けば嬌声が漏れ出る程にその時を愉しんでいた。
ゆっくりと腰を動かす内に二人共に十分な余裕が生まれ、自然と腰を動かす速度が早まってゆく。
ぬちゅぬちゅと腰が触れ合う度に互いの液が混ざり合った液体が腰を濡らし、より快感を潤滑に伝える。
根元まで深く挿入し、互いに快楽を味わう内にその刺激と高揚感が波のように消えず、次第に蓄積していくような感覚が襲う。
「ツ、ツバサ……! もう……!」
「いいよ……! 全部……受け止めるから……っ!」
下半身だけでなく、首も尻尾も絡めるように密着させ、水音を激しくさせてゆく。
ぐちゅぐちゅっと音が響き、それをかき消す様な荒い呼吸が限界が近い事を知らせる。
そうして自らの中に溜まった快感を解き放つ。
何も考えられないほどの開放感と、それと相反するような全身の収縮。
マグマのように蓄えられたエネルギーがどくどくと解き放たれてゆく感覚。
呼吸することすらも忘れるほどの快感を味わい、そして心地よい虚脱感が二人の身体を支配してゆく。
一度事を終えてしまうと、そこに居るのはただの愛おしい存在。
気が付けばそっと頬を舐め合い、緩やかに互いの体温を交換していた。
ズルリと彼女の中から引き抜かれた槍は既に力を失っており、自らのスリットの中へとスルスルと戻っていった。
「……気持ちよかった?」
「そんなの……ああ、気持ちよかったよ」
嬉しそうに微笑む彼女を見て一度は答えるまでもないと思ったが、互いに胸中を語らなかったのが原因で今日という日まですれ違っていたのだと思い出し、きちんと言葉にして伝えた。
そのまま暫くは互いに微笑み合っていたが、この程度で済まさないのがエンニュート印の媚薬といった所か。
随分と落ち着いたと思ったら、途端にスリットの間からまだまだ行けると顔を覗かせた。
一度してしまえば感じていた壁はなくなるもので、今度は彼女の背中に覆い被さるように身体を重ね、尾を絡める。
彼女の尾の付け根に沿うように彼の槍が今一度雄々しく反り返り、脈動する。
今度は先端で探るように腰を動かし、すっかり彼の物を受け入れるようになった彼女の割れ目を探し出して、ずぶりと潜り込んでゆく。
互いに身体を絡め合わせるように尾を動かし、より深く交わってゆく。
優しく傷一つない彼女の首筋に噛み付き、舌で舐め回すと彼女の膣内が悦ぶようにぎゅうと彼の槍を締め付ける。
じゅぶっじゅぶっと先程彼女の中へと解き放った精液が混ざり合った液体が音を立てて溢れ、更に受け入れるための潤滑剤となって流れ出す。
突き込む度に締め付けが強くなり、彼女も同じように快楽を貪っているのだと分かるとはち切れんほどに槍が固く太くなる。
一度目の時よりも寧ろもっと本能的な衝動に突き動かされるように腰を動かし、互いの腰を打ち合わせる。
尻尾を絡め、地面に付けた彼の腕に彼女が指を絡め、しっかりと絡みつけ合い、更に激しく腰を突き上げるほどに動かし、そしてもう一度彼女の中へ全てを解き放っていった。
二度目と思えないほどの量がどくんどくんと脈打ちながら次々と送り出され、力を失い引き抜かれる頃にはごぽっと音を立てるほど注がれていた。
「わ、悪い……。そんなに力を込めてるつもりはなかったんだけど、首筋に傷が……」
「別に気にしてないわよ。逆に私とホムラの愛の証みたいな?」
冷静になって彼女の首筋に軽くだが噛み跡が付いていることに気が付き、彼が申し訳なさそうに謝ったが、それを指摘されると彼女は寧ろ嬉しそうにしていた。
「ごめん。もう一回だけシたい」
既にエンニュートのフェロモンの効果は切れていたが、彼女のあまりにも扇情的な一言に今一度彼の雄に火が点いてしまい……結局あと三度交尾して夜を明かすこととなった。
……それと同時に宿屋にしこたま怒られて別料金を取られたせいで表沙汰になるのだが、それは別の話。
「いらっしゃいま……」
「どうも。先日はお世話に」
後日、リザードンは宣言通りエンニュートの宿を訪れていたが、エンニュートの経験上、お叱りを受けるのは目に見えていた。
大抵の場合、効果に気が付いてお互い隠し事にするために二度と訪れないか、エンニュートが夜這いの為に渡した毒だと気付いて怒られるかの二択だからだ。
「あのー……えっと、もらったお茶なんですけど」
「すみません出来心です」
そういう場合は素直に白状するのが一番怒られずに済むと学習したためエンニュートは話題に出された時点ですぐさま頭を下げたが、リザードンはすぐに頭を上げさせて耳打ちした。
「アレなんですけど……多分、『惚れ薬』的な触れ込みで売った方が面倒が避けられるかと」
アドバイスをされるパターンは初めてだったため、少しの間反応できずに遠くの世界を見つめていたが、リザードンの言っていることは理解できた。
「……事実上毒を盛ったようなものなんですけど、それ自体は怒らないんですね……」
「まあ悪気があったわけじゃなさそうですし、それに……おかげですれ違いが解消したんで……。望む人に売る方が心象良いですし、巡り合せも増えると思いますよ」
「ありがたいついでに一応聞きますけど、私なんて奥さんに如何です?」
「残念ながら……。おかげで恋が実ったので……」
そう言ってエンニュートに礼を伝えつつ、オンバーンと共に宿に泊まりに来たことをそれとなく伝えた。
がっくりと肩は落としつつも、役に立ったと褒められたのは初めてだったからか、エンニュートからも少しだけ笑みが溢れた。
「惚れ薬屋ねぇ……」
仲睦まじい二人の様子を見送りながら、エンニュートはそうポツリと呟いた。
恋が実ったかは定かではないが、ひっそりとお店は繁盛したとかしないとか。