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#author("2023-12-08T19:26:10+00:00","","")
#include(第十一回帰ってきた変態選手権情報窓,notitle)
※この小説には&color(#ff3366){人×ポケモンの官能};描写が含まれます。また、極々軽度の&color(black,black){人×人};の描写、軽度の&color(black,black){寝取られ的描写、俗に言うBSS};の描写も含まれます。ご注意ください。
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生徒たちが課外学習へと出かけ始めてはや数日。時折寮へ帰ってきては泥のように眠って、雲のように目覚めてはまた外へと飛び出して行く。その間、学生寮の管理はアカデミーがする……となると、まあ、人手が足りないらしいね。だから困って、寮母や寮父、それから清掃員を募集して雇うわけ。ぼくみたいにね。そうやって、課外活動の期間中は全部の部屋の掃除をぼくたちが代行してるんだ。
それにしても……いいなぁ、キラキラした学院生活。中には部屋に引き篭もって何かに熱中している人もいるようだけど……まあ、それはそれでいいよ。個人の勝手だし。その部屋は掃除もしなくていいし。ぼくも学生時代は似たようなもんだったし……。
……ぼくがいること自体を気味悪がる同級生の顔。擁護の一つもしない教師。ニヤニヤと下卑た先輩の目つき。……嫌なことを思い出してしまった。
いいさ、ぼくはあの時、人生の宝物を見つけたんだからね。今も追い続けている宝物。ふへへ……いいもんだね、宝探し。そう、たからもの……。
「おはようございまーす」
「あ、ああ、お、おはよう。今日も授業カナ?」
「えへへ、そうなんです。実は単位が足りないぞーって先生にどやされてて……」
「そ、そうなんだ。頑張ってネ」
「はい! じゃあ行ってきまーす」
ふへへ……新入生で転入生のアオイチャン……ポケモンバトルはあんなに得意なのに、授業がお粗末だなんて、可愛いなぁ……。ぼくもイロイロ教えてあげたい……。
そう、ぼくのたからもの。アオイチャンみたいな、キラキラしてるのにぼくみたいなクソキモ陰キャにも分け隔てない……同級生だったアバズレなんかとは真反対の、ピュアでイノセントなオンナノコが、ぼくは大好きなんだ……。
あの日、虐められてたぼくに手を差し伸べてくれたオンナノコのように! キモオタに優しい子の妄想じゃないとぼくは抜けなくなっちゃったんだよ!
アオイチャン以外にもステキな子は沢山いるけど……今の所イチバンはやっぱりアオイチャンだね。あの細っこいのに柔らかそうなお手々でぼくのイロんなところをヨシヨシしてもらうんだ……昨晩も今朝もそれで抜いた。
いやでも、ぼくは思うんだ。顔を合わせた時にいつも笑顔で挨拶してくれる——これって、もうぼくのこと好きだよね!? アオイチャンはシャイだから中々言い出せないのかな!? つ、つまり、ぼくがリードしてあげるべきなのかな……!
い、いいや、落ち着けぼく。アオイチャンは恥ずかしがりやだから、直接好きって言ったら照れて否定しちゃうんじゃないか? あの子は男性経験なんてないんだから、じっくり、優しく接しないと……。
……でも、アオイチャンったら、最近上級生のガサツそうな男と仲良くしてるんだよね。ぼくのことを焦らしてるのかな? それとも、持ち歩いてる調理道具で胃袋を握られちゃった……? 万一あんなバカっぽい男がアオイチャンを毒牙に掛けたりなんかしちゃったら……ダメダメダメ、アオイチャンは恋のカケヒキが苦手なんだから! そうなる前に早くぼくがアオイチャンを守らないと!
そうと決まれば話は早い。ぼくは寮室の清掃を名目にアオイチャンの部屋に入った。勿論掃除もする。いつものようにシーツを交換してベッドメイク。そこでいつものようにアオイチャンのかほりを楽しんでから、いつものように部屋に掃除機をかけて、クローゼットは触るなって清掃チーフに禁止されてるからそのままにして、次にシャワー室。タオルを嗅いだりちょろまかしたりするのも忘れない。アオイチャンのタオルは甘いかほりがする。
排水口の髪を取り除いて、流石にこれは捨てる。アオイチャンに汚いところなんてないけど、排水口にはアオイチャン以外の雑菌もあるし、何より髪の毛はシーツからもう採取してるし……。あ、もしかしたら下のお毛々もあるかも、なんて思わないよ。だってアオイチャンはお生理もまだだから! 毎日サニタリーボックスを覗いて確認してるからそれは断言できる! まだまだアオイチャンは子供なんだから、お、おマンマンに毛なんてあるわけないし! それにアオイチャンったら、トリートメントを多く使いすぎちゃうみたい。よく白いヌルヌルが絡まってる。まったく、ぼくがいないとアオイチャンはダメなんだから。そんなところもカワイイけどね!
トイレも綺麗にして、日課のサニタリーボックスを覗いて、トイレットペーパーを交換して……。
さて、一通り清掃も終わったし……今日の本題に移ろう。アオイチャンは自撮りが好きらしくって、よく勉強机の壁にお友達との写真を飾ってる。中には僕も応援してるジャモタンとのツーショットもあって、流石に撮影せざるを得なかったね……。写真を更に撮影するから当然画質も悪くなるけど、アオイチャンから思い出を奪うわけにはいかないもんネ……。
それはそれとして、アオイチャン、最近はオシャレなコルクボードをいくつか買ってきて飾ってる。壁に直接っていうのが嫌だったみたいだネ。でも駄目だよアオイチャン、こんなにいっぱいあったら裏に何か仕掛けられちゃうカモしれないからね。特にコルクボードなんてくり抜きやすいの、クラスの不埒なヤツに盗聴器なんか入れられちゃうカモしれないんだよ! でももう大丈夫。そうなる前にぼくがアオイチャンの安全を確かめてあげるからネ!
小型の録音機を隠しておいて、これで音は大丈夫。でもやっぱり映像も欲しいよね。声だけじゃ侵入者が誰か分かんないカモだし、それにもしかしたら、へへ、あ、アオイチャンのプライベートな姿を見られるカモだし!
というワケでぼくは小型カメラも準備してきた。とはいっても流石にこれは隠す場所がタイヘンだからね。ちょっと悩んで、電子レンジの陰に潜ませた。ホントは部屋全体が見られたらいいんだけど、それで不審者にバレたら大変だからね。アオイチャンのベッドだけでも映ってたら最低限大丈夫かな? どうかな。今度また追加するかもネ。
そうだ、今度ぬいぐるみでもプレゼントしてみようカナ? いろいろ隠しやすいだろうし……いやでも、ぼくからのプレゼント、アオイチャンは照れちゃうかも? そうだよね、実質プロポーズみたいなもんだしね! 焦っちゃ駄目だぞぼく。じっくりアオイチャンの緊張をほぐしてからじゃないとね!
「おはようございまーす」
「あ、アオイチャン……今日も元気だ、ネ」
「えへへ……アカデミーでの毎日が楽しくって!」
「そ、それはよかった! ……で、でも、何か困ったコトがあったら、ぼくが相談相手になるから、ネ」
「あはは、ありがとうございます。そうだ、今日は授業の後でお買い物してくるんで、ちょっとだけ帰るの遅れます!」
「わ、わかった。気をつけて、ネ」
「はーい! それじゃ!」
次の日もアオイチャンは天使のようだった。でももしかしたら困ってることがあるかもしれない。例えば上級生に付き纏われてるとか。先生がヤラシい目で見てくるとか! それとも、い、い、イジメ、とか……!
やっぱりぼくが守ってあげないと! 早速昨日のカメラと音声を確認しなくっちゃ!
☆☆
なんだ、これ。
うそだ。こんなの。ぜったい、ぜったいなにかのまちがいだ。
『クゥ』
『もう、ウェニーったら。昨日あんなにしたのに、今日もやりたいの?』
『クァプル』
『しょうがないなぁ……ほら、おいで』
アオイチャンがベッドに腰掛けて、ゆっくり服を脱いでいく。思ったよりもオトナっぽい黒のブラジャー。思ったよりも大人っぽい黒のパンツ。そこに手を掛けるのが、アオイチャンのハジメテのポケモンのウェーニバル。いつもはあんなにやかましい動きなのに、その動きはしおらしくて、でもその股間からは全く大人しくない真っ赤なモノが——。
『んちゅ……れる……む……』
『クアァ……』
『きもちい? ちんちんピクピクしてるよ』
『クゥ、クゥ』
『あんっ……あはは、もう我慢できなさそう? ……いいよ、来て』
アオイチャンがポケモンのちんぽを舐めてる。あんなに蕩けた顔で。手慣れた様子で。ウェーニバルも満更でもないような顔で。優しく、でも激しくアオイチャンのお股を弄って。
やがてアオイチャンが寝そべると、ウェーニバルがそこに跨るように被さって……。
『んっ……いいよ、その調子』
『クァ……クククッ』
『あっ、んっ……奥まで入ったね。ウェニーのちんちん、おっきくてきもちいーよ……』
『クゥ、クァル』
『ウェニーもきもちいーんだ。ほら、動いて?』
『クァッ』
アオイチャンとウェーニバルがぴったり重なったかと思うと、ゆっくりと、左右に振りながらウェーニバルが腰を引いて、また沈める。いつものあの煩わしい動きじゃなくて、優しく、でも力強くピストンがされていく。
『ああっ、ウェニー、いいよ、いいっ』
『クゥ、クァ、グァ、クゥッ』
『おねがいっ、おくっ、もっと、もっとぉっ』
『クァウゥッ……!』
『んぁっ、すごいっ、あぁ、わたしも、いく、いっ……んうぅっ!』
アオイチャンの足がぴんと伸びる。ウェーニバルが強く腰を打ち付けて止まる。やがてふたりともぐったりとして、アオイチャンがウェーニバルをゆっくり撫でた。
『えへへ……わたしたち、一緒にいっちゃったね』
『クルルルルル……』
『いっぱいきもちかったね。大好きだよ、ウェニー』
『……クァル』
『ウェニーもそう? あは、嬉しいな……』
ちゅ、と音が聞こえて、そのまま静かになった。
ぼくの頭では何かがガラガラと音を立てて崩れていった。
『クァ』
『ふぁ……おはよ、ウェニー』
『クク』
『んーっ……今日もいい天気だね。……あ、消臭剤がもう切れちゃうね』
『クゥ?』
『ほら、ベッドの香りを隠すスプレーだよ。ウェニーとえっちしてるの、秘密なんだからね。これが無くなっちゃったら、しばらくえっちはお預けだよ』
『クァ!? クァ、クゥ!』
『あはは、わかったわかった。後で買いに行こうね』
『クァ!』
『入りマース……ああっアオイチャンのお部屋……アオイチャンのかほり……アッ! ベッドがまだ暖かい! スゥゥゥゥ……むはぁ……アオイチャンの甘いにおい……』
『んーまっ……ふぅ。さてさて……ぼくが見てない間、アオイチャンはどんなコトしてるのカナ……?』
NO SIGNAL
☆☆☆
この前は酷い目に遭った。まさかあのアオイチャンがぼくを惑わすクソビッチだったなんて。可愛い見た目と狡い話術にすっかり騙されてしまった。
しかも腹立たしいことに、不貞寝ならぬ不貞オナヌーしようとしても、最近ずっとあのメスガキパフュートンの手で扱かれる妄想をしてたせいか、あの子のあの日の様子が頭に焼き付いて離れない。仕方がないからあの映像をオカズにして抜いてた。最近やっと別のオニャノコとポケモンの妄想で抜けるようになってきたから、アオイチャンからはもう卒業だ。ちょっとずつオニャノコとぼくの妄想にできるようにしたいと思う。
そんな可哀想なぼくだったけど、最近は新しく仲のいい生徒さんができて立ち直りつつある。
「おはようございまーす」
「あ、お、おはよう」
その子は挨拶してすぐに歩き去ってしまったけれど、ぼくに挨拶してくれる時点でぼくのことが好きに決まってるから、あれも照れ隠しだね。そういうところが可愛いんだ。
でも実は、僕はあの子の名前をちゃんとは知らない。臨時雇いの清掃員なんかに寮名簿は見せてもらえないから、本人に自己紹介してもらえない限り生徒さんの名前を知ることはないんだ。
だからぼくはあの子の名前を、あの子の友達が呼んでたように“ハル”としか知らない。ハルって名前なのかあだ名なのかは知らないけど、ぼくにとって彼女はハルチャンなのだ。
可愛い名前だよね、ハルチャン……でもこの前ぼくが思い切って名前を呼んだら、訝しげな目でこっちを見てすぐ歩いて行っちゃったんだよね。あれはちょっとぼくも焦りすぎたカナ。じっくり仲を深めたらハルチャンもきっと心を開いてくれるハズ……!
というワケで、早速ハルチャンのお部屋にお邪魔することにした。ハルチャンも例のビッチと同じく遅れて入学したからか、部屋に物が少ない。ぬいぐるみの一つも無いし、写真もちょっとしかない。それもどうやら家族との写真みたいだし、お友達とはあんまり撮らないのカナ? もしかして、孤立しちゃってたり……そうかもしれない。ハルチャンには男の友達が多いみたいだから、もしかしたら、クソビッチだとか、メスパフュートンだとか、謂れの無い誹謗中傷を受けてるんじゃ……?
大変だ! やっぱりぼくが守ってあげないと!
ハルチャンはシンプルな服が好きみたいで、制服も遊んでないし、私服はほとんどない。まるで男の子みたいだ。でも、以前の経験を活かしてこっそりクローゼットの中まで覗いてみたら、奥の奥の更に奥に可愛いワンピースやスカート、あと、フリルでレースの、お、おぱんつが入ってたから、可愛いものも嫌いじゃないんだと思う。ちょっと大胆すぎるカナと思いつつ頬ずりしておいた。他のぱんつは全部綺麗に畳まれて詰められてたけど、全部綿で無地っぽかったね。グレーとか紺色の渋めの色が多いのがハルチャンらしくてとても良いと思う。いやあ、そっちも広げて全部確認したかったけど、これだけきっちり詰められてたらこっそり仕舞い直すのも大変だし、何より勝手に詰め替えたりしたらハルチャンも不安になっちゃうしね。おぱんつチェックはちゃんと付き合ってからだ。それはそれとして顔を限界まで近付けてかほりは嗅いでおいた。柔軟剤の香りだった。
ぼくが思うに、ハルチャンは可愛いものが好きだけど、それを隠してるんじゃないカナ。だってこのワンピースもスカートも、ハルチャンぐらいの子が着るには可愛すぎるというか、いっそ作り物なんじゃないかってぐらいフリフリで幼く見える。ホントはそういう服が好きなんだけど、お友達に揶揄われるのが嫌でこうやって隠してるんだとしたら、あまりにも可哀想だ……! せめてぼくの前では本当のハルチャンを曝け出してほしいナ。
一応決められた通りにハルチャンの部屋を掃除しているうちに、もう一つ気付いたことがある。ハルチャンは体臭があんまりしない。ベッドシーツをクンカクンカしてもあんまり匂わないし、バスタオルからは備え付けのシャンプーの匂いしかしない。オニャノコ特有の甘い香りを期待してたからちょっと拍子抜けしたけど、いやいや、香水なんかを使ってない素材の味ってことじゃないか。変に誤魔化されてるよりよっぽどいい……いや、むしろそっちの方がずっといい。前の子みたいに隠されて騙されてることがないってことなんだから。
さて。本当にぼくは下心なんて微塵もないんだけど、可愛いカッコしてるハルチャンはぜひとも見たいネ!
以前の手間を考えて、今日はカメラとマイクが一体になってるのを用意した。小型になると値が張るから別々の方が安くつくんだけど……特にハルチャンみたいにお部屋がシンプルだと隠しづらいからネ。カメラはお高かったけど、それでハルチャンを守ってあげられるなら本望さ! 安月給だから辛いケドね。
掃除機を軽くかけてから、今回も電子レンジの陰から覗くカンジでカメラを置いた。うーん、完璧だ。こっそりハルチャンを見守れる。まあ冷静で賢いハルチャンなら、もしカメラを見つけてもぼくが見守ってあげてるんだって分かってくれると思うけどネ! それはそれとして思春期のオニャノコが自立しようとしてるのを邪魔するつもりはないんだ。……あれ、自立しなくてもぼくが一緒に居てあげればいいんじゃないカナ? そうだ、そう伝えてあげよう! ぼくがいるからしっかりしなくてもいいんだヨって、いつかまっすぐ目を見て教えてあげるんだ。そしたらハルチャンは目を潤わせながらしなりとぼくの胸に寄りかかって……エヘ、エヘヘ……。
自分のこんな妄想を本人の部屋でしてるってことに興奮したのでハルチャンの部屋のトイレで抜いた。可愛いハルチャンが悪いんだからネ。そういえばハルチャンの部屋にはサニタリーボックスが無いんだよね。どれだけつっけんどんで大人ぶってても、まだお生理もまだなんだね。そんなところも可愛いネ!
「どうも」
「あ、お、お、おはよ、う……あっ……」
今日もハルチャンはシャイで、会釈だけして歩いて行っちゃった。今日はなんだか大荷物なんだね。昨日思ってたようにぼくの気持ちを伝えようと思ったんだけど……まあゆっくりでいいや。
ふふん、どれだけぼくを突き放しても、ぼくは本当のハルチャンを分かってるんだよ。そろそろ心を開いてハグで挨拶してくれると嬉しいナ。
生徒さんが粗方出ていったら、早速ハルチャンの部屋に……行く前に、他の生徒さんの部屋の清掃に入る。お楽しみは最後に取っておくんだ。
……ほら、先に回収しちゃうと仕事に手が付かなくなっちゃって。前回はそれで仕事が雑だってチーフに怒られちゃったからさ。
今はハルチャン以外に気になる娘はいないからさっさと終わらせちゃって、満を持してハルチャンの部屋に入る。今日もシンプルで綺麗なお部屋だ。生徒さんによっては教科書が床にとっ散らかってる人もいるけど、ハルチャンはちゃんと片付けてくれてる。あれっ、もしかしてコレって、清掃に入るぼくを気遣ってくれてるのカナ……? やっぱりハルチャンは素直じゃないだけでホントは優しい子なんだね!
さっくりと部屋の掃除を終わらせて、水回りも綺麗にして(いつにもまして浴室がいい香りだった気がする)、そしてカメラを回収した。
それから日課のクローゼットチェックをしてみると……なんと! フリルのおぱんつが1つ無くなってるんだ! それに、子供っぽいと思ってた服やスカートの畳まれ方が変わってる。さらに普通のおぱんつも1つ無くなってると思う。
もしかしておぱんつが盗まれたんじゃないか、とも思ったけど、それより有力な説をぼくは思いついた。きっと今日、ハルチャンはあのフリフリのおぱんつを履いて行ったんだ! 普通のおぱんつは着替え用とかなんじゃないカナ。
一体どうして、今日になって履いて行ったんだろう? 事の次第はやっぱりこのカメラに収まってるはずだ。
ぼくはそそくさとカメラを仕舞ってハルチャンの部屋を後にし、自室へと戻った。
☆☆
……は? なんだよ、これ。ワケ分かんない。分かんない。分かんない。
なんで、なんで……?
『またぁ? 今日は疲れてるんだけど……』
『ぬーちゃ! きゃ!』
『はいはい、分かった分かった。着替えるから。ぐいぐい押さないで』
『きゃっきゃっ!』
デカヌチャンがハルチャンの背中を押してクローゼットに押し込んだ。けど、その服を脱ぎかけたハルチャンの下着が、男物で……。
『……ほら、これでいい? 僕の女装なんて見て何が嬉しいんだよ……』
『ぬぬちゃぁ……ぬ?』
下着を脱いだハルチャンの股間には、男のシンボルがぶら下がってた。下着を履くとさらに股間の膨らみが強調される。そしてそれは次第にその大きさを増して、完全に上を向いたちんぽの先っぽがぱんつからはみ出た。女物の上着を着て、スカートやズボンは履かずに、女物のシンプルなぱんつからちんぽをはみ出させたハルチャンの姿は、ぼくの頭を完全に停止させた。
『……まあ、勃起しながら言うことでもないか。僕、可愛い?』
『ん!』
『デカヌは本当に可愛いものが好きだな……って自分で言うのもなんだけど。デカヌもその服似合ってるよ』
『ちゃー!』
いつの間にかデカヌチャンも人間のように服を着ていた。女児のような、いっそ作り物と言われても頷けるようなデザインの服だ。あの、クローゼットの奥にあった服だ。
よく見るとハルチャンの履いてる下着はあのフリルとレースのものじゃなく、もっとシンプルなものだった。
『お揃いだね。……いや、やっぱポケモンに服着せるのエロいな』
『んー?』
『なんでもないよ。ほら、いつもの、してくれる?』
『ん! んあーむ』
ハルチャンが股間をデカヌチャンに差し出すと、デカヌチャンはトレードマークのハンマーを手放して、慣れた手つきでちんぽを包み持って口に咥える。あの歯抜けのような形の口がその形を柔らかく変えて、ぬるん、と玉袋まで咥え込んだ。
『うっ……吸い付きすご……ちんこ溶ける……』
『ちゅぷ……ぬちゃ、ぬーちゃ』
『んおっ……こ、こら、お尻は駄目だって』
デカヌチャンがハルチャンのお尻の方に手を回す。ハルチャンは恥ずかしげに拒絶するけど、デカヌチャンはいたずらっぽく笑ってちんぽから口を離した。
『ぬちゃー? ぬーきゃあ?』
『ほんとだって。ほんと、ほんと……』
『……』
『……』
『……ぬ?』
『……分かった、分かったよ。ちょっとだけだよ』
『ぬちゃー!』
デカヌチャンがまたハルチャンの股間に顔を埋め、同時にハルチャンの肛門を攻め立てる。繊細に撫で回したかと思えばそっと指を入れてぐにぐにと広げたり、蟻の戸渡をくすぐったかと思えばフェラチオを激しくする。
ハルチャンはすっかり蕩けた顔でデカヌチャンにされるがままにされている。時々腰を引いて快感から逃げようとしてるみたいだけど、デカヌチャンが強く抱き寄せて逃さない。
そうやってしばらくしたころ、ハルチャンがデカヌチャンの頭をトントンと軽く叩いた。
『あぁ……もういいよ、デカヌ』
『ぬ?』
『うん。風呂場行くよ』
『ぬ!』
デカヌチャンはハルチャンを横抱きに……お姫様抱っこにして、浴室に入っていった。
そこからはもう、水音と籠った声だけが微かに聞こえてくるだけで……。
『……そっ、このっ……エロい身体……って……!』
『ぬぁ! ぬちゃあっ!』
『馬鹿み……あえぎやが……のドスケベポケモ……』
『きゅぅ! ぬゅぅ!』
『っ……出すぞっ……く……』
『ぬちゃあぁぁぁっ!』
『うぉ……しぼられ……』
——。
『まっ……待て、そんなすぐにっ……』
『きゅう、きゅううぅ』
『ひぅっ……やめ、そんな乱暴にっ……あああっ!』
『ぬちゃー!』
——。
『待って、待って! もう無理! お終い! ホント出ないって!』
『ぬーちゃあ? ぬぬちゃ?』
『あっ! お尻っ! やめっ! んんっ!』
『ぬちゃー!』
————。
『はー……疲れた。ちんこがジンジンする』
どれぐらい時間が経ったのか。ぼくが耐えきれなくなって早送りしたから正確な時間は分からないけど、早送りを止めたところでちょうどハルチャンとデカヌチャンがベッドに戻ってきた。お互い何も身に着けていない。さっきまで着ていた服は全部デカヌチャンが持っていて、それをベッドの脇にどさりと置いた。
『ぬ! ぬちゃ!』
『デカヌは元気だね……あ、こら。それは今度のピクニックに持っていくんだから。壊したらデカヌだけ連れて行かないぞ』
『ぬぬ……きゅるん?』
『甘えてもだーめ。まったく……』
ハルチャンがデカヌチャンの悪戯を咎めつつ、服を一枚一枚広げていく。
『あ、ぱんつ破れてる』
『ぬちゃ!? ぬ……ぬちゃ……?』
『あー……やっぱ着衣セックスは無理があったか』
『ぬちゃ……』
『嘘泣き?』
『ぬーちゃー!』
『痛い痛い、冗談だって。デカヌのお気に入りだったもんね』
ハルチャンのパンツが破れていたらしい。それがデカヌチャンにとってはショックだったみたいで、大袈裟にも見える反応を茶化されてハルチャンがポコポコと叩かれる。でもデカヌチャンは心底しょんぼりした様子で名残惜しそうに破れたパンツを手に取った。
『ぬ……』
『そんなにショックだった? 大丈夫だよ、新しいのをまたAmarusuで買おう』
『ぬちゃ……?』
『うん。また僕に似合うぱんつ探してよ。ついでにデカヌの新しい服も探して買っちゃおう』
『ぬ……ぬちゃ! ぬちゃー!』
『ふふふ……さ、今日はもう寝るよ。ボールに戻って』
『ぬちゃ! ぬちゃー』
すっかり元気になったデカヌチャンをボールに戻したハルチャン……いや……ハル、クン……は、整頓の途中だった女物の服を眺めて、そっと身体に合わせて鏡を見た。
『……やっぱり、女装した僕、可愛いよな』
それから、その服を着て、破れたパンツを履いて、鼠径部を丸出しにして、やっぱりズボンは履かないで、鏡越しに自撮りを始めた。
『……ん、これでよし。いい感じに盛れて撮れたんじゃない?』
『文面はー……“お気に入りのぱんつ破れちゃってぴえみ”……“僕への手助けしてしてー”……“#女装男子”……“#女装娘さんと繋がりたい”……“#可愛いと思ったらgood”……こんなもんかな』
『ふへ……投稿、っと』
『ん……朝か……クリーニング出さなきゃ……うわっ』
『ぬちゃー!』
『デカヌは朝から元気だね……おはよ』
『ぬちゃ! ぬちゃ!』
『そんなにそれが気になるの? ピクニックは明後日だからね』
『……ぬーちゃー』
『あーこらこらこら! 壊すんじゃない! 分かった分かった! 今日ちょっとだけ二人で行こう! ちょっとだけだからな!』
『ぬきゃ!』
『まったく……ほら、いつものクリーニング行くから。デカヌはお風呂に消臭剤かけてきて』
『ぬ!』
『入りマース……ハルチャンのお部屋クンカクンカ……ハルチャンのお部屋はいつもキレイだネ……やっぱりぼくのこと好きでしょ! 分かってるんだからネ!』
『ハルチャンのベッド……お洋服……そしておぱんつ……が、無い!? ぬすっ……いやっ、はい、履いて、履いていったのカナ!? か、か、確認、しなくちゃ……ネ!』
NO SIGNAL
☆☆
この前は酷い目に遭った。まさかハルチャンがクソ女装ホモガキビッチだったなんて。可愛い見た目にすっかり騙されてしまった。しかもその上、ポケモンとの女装コスプレ着衣セックスなんていうおぞましいものも見せられてしまったんだ。許せないね。
あまりの事実にショックを受けたケド、ぼくはか弱くも健気なオトコだからね。すぐにハルチャン……いや、ハルキュンのSNSの裏アカウントを特定したさ。そしたらなんと、入学してから凄い数の写真が上げられてるんだ。女装したハルキュンと服を着たデカヌチャンの下着姿がね。しかもそこそこの数の高評価が付いてる。時々ある全裸写真にはいつもの3倍ぐらいの高評価があるよ。ハルキュンのオチソチソにはしっかりモザイクが掛かってるっていうのにね。なんて変態どもの集まりなんだ。どうやらマトモなのはぼくだけみたいだネ。
しばらくはそのメディア欄でオナヌーする日々だったけど、最近は別の男の娘や雌ポケモンで抜けるようになってきたから、もうハルキュンからは卒業だ。アカウントを卑猥なものとして通報してブロックすることにする。
そんなぼくなんだけど、最近はビビっとくるコがいないんだよね。アオイチャンとハルキュンが見た目では頭一つ抜けてたというか、そもそもそれ以外の人はぼくになんて目もくれないというか。
でもその2人でぼくの心は大怪我だからなぁ……そろそろここで清掃係するのも潮時かもしれない。また新しい仕事探そうかなぁ。
そんなことを考えながらぼくがぼーっとしながら寮の入り口の掃き掃除をしていると、外から黒髪のオニャノコが歩いてきた。アオイチャンやハルキュンぐらいの歳だろうか。その子はにこりと笑みを浮かべて、ぺこりとぼくに会釈して寮に入っていく。
見覚えのない顔だ。この寮を使っている学生全員を物色したぼくには分かる。あの子はこの寮の子じゃない。だって、引き込まれるような真っ赤な瞳のあんなに可愛いオニャノコ、ぼくが見逃してるはずない!
だから、これは、不審者を追いかけているのであって、決して疚しい気持ちで後を追っているわけじゃない。うん、そう。違うよ。別に可愛いオニャノコにお近付きになりたいわけじゃない。
いやぁ、もしかしたら新しくこの寮に入ることになった転入生かもしれないネ。もしそうなら、ぜひともお部屋の掃除はさせてほしいナ!
☆☆
黒髪赤目のそのオニャノコは、寮の奥の奥、もう全然使われてない空き部屋に向かっていた。鍵が掛かってるはずだけど、何の目的でこんなところに来たんだろうか。
掃除する様子を装って後をつけてみたんだけど、その子がチラッとぼくを見て、にっこりと笑ってまた歩き出したから、多分これは誘われてるんだと思う。あっ、“誘われてる”ってソウイウイミじゃないからネ! いや、ソウイウイミでもぼくは大歓迎なんだけど……誘導されてるってイミだからネ。不埒な勘違いしちゃ駄目だヨ。
もうこっそりする必要もないみたいだから堂々と追いかける。その子は鍵の掛かっているはずの空き部屋のドアに手を伸ばして、ドアは当然のように開く。うーん……これはやっぱり、新しい転入生がやって来たってことなんじゃないカナ? そうじゃなきゃ説明つかないもんネ。
あの子が手招きして部屋の中に入ったから、ぼくも後を追って部屋に入った。布が全部白で統一された清潔感のある整理された部屋だ。カーテンにレースが使われてるみたい。お、お嬢さまって感じでドギマギしちゃうネ。
「ああ、よかった! 来てくれてありがとうございます!」
「え、わ、わ、あ」
ぼくが何となくドアをしっかりと閉めたその瞬間、ぼくの身体にぎゅ、と柔らかい何かがしなだれかかった。あの子だ。あの子がぼくの背から腕を回してきて抱きつくように——いや、これはもはや抱きついてきているんじゃないカナ……!?
突然のことにぼくが戸惑っていると、彼女は僕の手を取って振り向かせる。艶のある黒髪と零れ落ちそうな赤い眼が美しい。それに甘くていい香りがする。オニャノコにここまで近付かれたことなんて無かったからドキドキしちゃうよ……!?
「私は……ロアと言います。実はちょっと困っていて……助けてほしいんです!」
「な、ど、どう、し」
「詳しいことは事情があって言えないんですけど……いくつか持ってきてほしいものがあって……」
あまりに切羽詰まった表情にぼくの背筋も伸びる。聞けば、理由は言えないものの、必要なものが足りなくて困っているらしい。
何てことだ! こんなに可愛らしいオニャノコが一人で困っているなんて! これはオトナとして手を貸してあげなきゃいけないネ。下心なんて無い無い。ほんとほんと。一つ深呼吸して、ロアチャソの甘いかほりを肺の隅々まで行き渡らせて、ぼくは神妙に頷く。
「ま、任せて。ぼくが持ってきてあげる」
「本当ですか! ありがとうございます!」
ではこれを、と言ってロアチャソは制服のポケットからメモを取り出した。渡されたから見てみると、欲しいもののリストらしい。
なになに……弾力のある茸に、鮮度のいい稲穂……? それから、食感のいい鞘豆……何だかポケモンの餌みたいなものばっかりだ。もしかすると、彼女は手持ちポケモンのための食料を求めているのかもしれない。
「もし難しいものがあれば、できる限りで構いませんので……どうか、お願いします」
まあ、事情を詮索するのも野暮ってものだしネ。そもそもこんなカワイコチャンのお願いを無視するとかあり得ないしネ!
そうだ、ロアチャソを待たせるわけにはいかない! 早くお願いされたものを持ってこなくちゃ!
ぼくはロアチャソに待っててねと言って、街へと駆け出した。仕事中だった気もするけど知らない。だってロアチャソが困ってるんだもんネ!
☆☆
いやぁ、苦労した。茸と豆はともかく、テーブルシティで稲穂ごと売ってるところなんて知らないし……とりあえずお米を売ってるところに行って、白米と玄米を入手した。これを渡して駄目だったらもうひとっ走りするだけだ。
ついでにぼくとロアチャソの分のご飯として、サンドウィッチも買った。ちょっと懐に余裕が無かったから学食のたまごサンドだけど、食べてくれるかナ……? ロアチャソはきっとお嬢様で、あんまりこんな庶民的な食事をしたことないかもしれない。恐る恐る食べてみて、意外と美味しい、みたいな反応になるんじゃないカナ。そしてこれからぼくがちょくちょくオススメするご飯を一緒に食べてくれる仲になっちゃったりして……むへへへへ……。
「ろ、ロアチャソ、持ってきたヨ」
ロアチャソの部屋のドアをノックすると、少しの間の後、ぱたぱたと音がして、そっとドアが開けられた。何か不安げなカンジだ。もっとも、ドアの前にいたのが信頼できるぼくだって分かると顔を綻ばせてくれたけどネ。
「お待ちしてました! ささ、中へ……」
ロアチャソの柔らかいお手々がぼくの手を引く。相変わらず白くて清潔感のあるお部屋には甘いかほりが漂っていて、なんだか鼻がムズムズしちゃう。こんなところでクシャミなんてしたらロアチャソに引かれちゃうカナ? いいや、きっとロアチャソなら笑って流してくれるよネ。
「それで、その……お願いしていたものは……」
「あっ、こ、こ、これ……!」
ぼくが手にしていた袋を優しく差し出すと、ロアチャソはそっと受け取って中身を検めた。稲穂じゃなくてお米を持ってきたからちょっと不思議そうな顔をしてたけど、なんと可愛らしくもすんすんと匂いを嗅いで納得してくれた! こんな種ポケモンみたいな可愛いオニャノコが実在しちゃっていいの!?
袋の中身を全部見たロアチャソは、うん、と一つ頷くと、ぼくにぱぁっと笑顔を見せた。眩しい。可愛い。付き合いたい。
……ハッ! ぼくったら、また一足飛びに付き合いたいだなんて! ロアチャソみたいな箱入り娘チャンはガツガツしちゃうと怯えちゃうに決まってる! もっとじっくり仲を深めなきゃ。……いや、でも待てよ? 見ず知らずのぼくに声をかけてきたことといい、お部屋にお招きされちゃったことといい、何度もぼくの手を触ってくることといい、もしやロアチャソはぼくにもう惚れちゃっているのでは? 一目惚れしてぼくを頼ってくれているのでは? ならもう、これは両想いなのでは……!?
「……あの?」
「あ、え、あ、ごめん、なに?」
衝撃の事実に気付いてしまったぼくが思考を巡らせていると、ぼくにホの字らしいロアチャソが小首を傾げてぼくを見つめている! よく見れば潤んだ瞳も、仄かに紅潮した頬も、やっぱりぼくに惚れている証拠なのでは!
もはや疑いようもなくぼくと両想いなロアチャソは、食材の入っているビニール袋を大事そうに抱え込んで、もじもじと恥ずかしげに、ぼくと視線を合わせず言った。
「その、もう一つ、お願いしてもいいですか?」
「う、うん、もちろん。なんだい?」
「おかしなお願いだとは思いますが……私に似合うと思う服を、持ってきてもらえませんか?」
……え? え? えぇ?
ふく? ふくって、服? ロアチャソに似合う服を? ぼくが?
「その、できれば、下着も……」
「し、ししっ、したぎもっ!?」
一体全体何があればそんなお願いをすることになるんだろう!? だって、こんな、清楚でお上品で幼気なオニャノコが、両想いとは言え、その日に会ったばっかりの男に、服と、お、おお、おぱんつまで!?
お、おち、落ち着け。落ち着くんだぼく。例えそれがどんな内容でも、ぼくに惚れたオニャノコのお願いじゃないか。それなら聞いてやるのが男ってもんじゃないのか。
そうだ。ロアチャソはぼくを信頼してこんな突拍子もないお願いをしてくれたんだ。それに、考えようによってはロアチャソをぼく好みの衣装で包むことだってできるんだし……うへ、うへへへへ……。
「わ、分かった。行ってくるよ」
「すいません……“お礼”は、ちゃんとしますので……」
早速部屋を出ようとしたぼくにロアチャソはそう言って、なんと、ぼくの背中にしなだれかかって……!?
細い指がぼくの背中を撫でる。それに強調された「お礼」という言葉……これは、まさか、まさか、もしかして!? そ、そ、そんな、両想いだからって、ふへへへへ!
すっかりやる気が満ちてきたヨ! ぼくは荒くなる鼻息をなんとか誤魔化して、ロアチャソに精一杯の健全な笑顔を向けて、部屋を飛び出した。一刻も早く戻らなきゃ、ネ!
☆☆
いやぁ、苦労した。服は白のワンピースをチョイスしたんだけど、正確なサイズが分からなかったからちょっと大きめだったかもしれない。でもあの艶のある黒髪のロアチャソがこの真っ白なワンピースを着てくれたら絶対似合う。ぼくの股間がキョダイマックスしてしまうこと請け合いだネ。まぁ、ぼくみたいな成人男性がこんな日の出てる時間に服屋に入ったり、オニャノコ用の服を買ったりすると、どうしても店員の訝しげな視線が痛かったケド。
もっと言えば、下着の購入はさらに難航した。サイズはあの雌パフュートンやクソ女装ホモガキビッチの持ってたおぱんつを参考にして、ぶ、ブラジャー、は完全にぼくの目測で選んだんだけど、いかにも阿婆擦れっぽい女店員の視線がトラウマと重なって吐きそうになっちゃった。まあ、確かにちょっと不審なのは認める。女性下着売り場なんて産まれて初めて入ったし……その中から一つ買って帰ることになるなんて思っても見なかったけど。
どうせあの女店員の中じゃぼくはどうしようもない変態野郎になってるんだろうけど、実際は違う。困っているオニャノコに頼まれて手を貸してあげる最高に格好いい紳士なのさ。ロアチャソのためならこれぐらい何ともない。何ともないけど、ちょっと休憩したいな……。
そういえば、一緒に食べようと思って買ったサンドウィッチをロアチャソの部屋に置いてきちゃったな。ロアチャソは礼儀正しいお嬢さまだから勝手に漁って食べたりはしないだろうけど、どうせなら先に食べててくれてもいい。部屋に帰ったら、ちょっとみっともないことをしちゃった自分を恥じらいながらも、初めて食べるたまごサンドの美味しさに目を輝かせてるロアチャソがそこにいる……みたいな、ネ!
そんな可愛いロアチャソのことを考えると元気が出てきた。決してその後に待っているであろう「お礼」に期待してるわけじゃない。ぼくをそんなケダモノ扱いしないでほしいネ! ぼくは紳士だから、箱入りで慣れない手つきのロアチャソを優しくフォローしてあげるんだ……むへへへへへへ……!
買い物が終わってから、ぼくは一旦自分の家に行った。すぐに寮に戻りたいのは山々だったんだけど、これからもしムフフな展開になるなら、それはぼくとロアチャソの愛の始まりってことでキチンと記録しておかなくちゃいけない! ただ、急に撮影ってなるとロアチャソはきっと恥ずかしがっちゃうから、こっそりネ。いつか結ばれた後にロアチャソに見せて恥ずかしがる姿もみたいネ!
幸いカメラには困ってない。こんなこともあろうかと用意してたボールペン型のカメラを胸ポケットに付けて、寮に戻り、ロアチャソの部屋の前で撮影を開始した。
「ろ、ロアチャソ、買ってきた、ヨ!」
この部屋に入るのも3度目だ。3度目ともなるとロアチャソはすぐにドアを開けてくれて、ぼくを中へ招く。
買ってきた服の入った紙袋をぼくが差し出すと、ロアチャソはにっこりと笑って、部屋の鍵を閉めて……。
「わ、わわ、ロアチャソ!?」
ロアチャソが無言で制服を脱ぎ始めた! 慌てて顔を背ける。急に肌面積が増えるとびっくりしてぼくのゾウドウがダイオウドウになっちゃう!
ぱさり、ぱさりと布が床に落ちる音がして、ガサガサ、と紙袋を漁る音が続く。それから、また衣擦れの音。ぼくが目をぎゅっと瞑っているうちに、そんな想像力を掻き立てる音を立てながら、ロアチャソは生着替えを終えたらしい。大丈夫、カメラにはキチンと映ってるはず。
トントン、と軽く床を踏み鳴らしたロアチャソ。もう見てもいいってことカナ、とドキドキしながらゆっくり視線を移すと、そこには想像通りの美しいロアチャソがいて——。
——は? なんだこれ。わけが分からない。
なんで、なんで——?
「ナーンチャッテ!」
目の前の景色が一変した。部屋が埃っぽい空き部屋になった。カーテンの掛かってない窓。シーツの掛かってないベッド。何も貼ってない穴だらけの壁。
そして何より、その中央にいた、ぼくの買ってきた服を着たロアチャソが、一瞬のうちに消えた。その代わりに、耳障りなほど抑揚の歪んだ発声をする、白い服を着た黒いポケモンらしき生き物がいる。
わけが分からない。わけが分からない。本当にわけが分からない。ロアチャソはどこに消えたんだ? このポケモンは何なんだ? 何でロアチャソの部屋がこんなボロ部屋になったんだ?
「ろ……ロアチャソは……?」
「サッキカラキモイ呼ビ方シチャッテサ! オレダヨオレ!」
思わず口をついて出てきた疑問を、黒い奇妙なポケモンが律儀に拾う。けどうまく聞き取れない。こいつの発音がおかしいのもあるけど、それ以上に脳の処理が追いついていない。
こいつは今、なんて言った……? オレだよ……? 何が……?
「マァ見事ニ騙サレチャッテ! イマドキ珍シイグライダヨ!」
「だま、す……」
違う。脳の処理が追いついていないんじゃない。脳が理解を拒んでる。この黒と赤の毛のポケモンがぼくを騙してたんだって? どう騙してたっていうんだ? 転入生のロアチャソは、箱入りお嬢さまのロアチャソは、ぼくと両思いのロアチャソは——
「ソンナ人間、始メッカラ居ネーヨ! アンタハオレニ欲情シテタノサ! 雄ノゾロアークニ、ナ!」
「あ、ああ……!」
黒いポケモンが白いワンピースの前をたくし上げる。そこには下着は無く、ひたすらに黒い体毛と、そして、赤黒く屹立した棒があった。
まるで足元の地面が崩れ去ったように、目の前が暗くなって立っていられなくなる。目眩が酷い。吐き気もする。
嘘だよね? これは、そう、ロアチャソの手持ちポケモンのほんのイタズラで、ロアチャソはまたぼくに笑いかけてくれて……。
「ソノ顔最ッ高ダゼ! アンタミタイナ人間ノソノ絶望ノ顔ガ堪ラネェンダ!」
前がまともに見えない。霞んだ視界に辛うじて映る黒い影は、ケタケタと笑いながらその中心で何やら赤い部分を弄っている。
「アー、イク、イクゥ! アノ飯喰ッテカラチンポノ調子モ絶好調ダゼェ! アリガトヨ!」
そしてすぐに、ぼくの頭に、顔に生ぬるい液体が飛んできて。それが何かを理解する前に、僕は気を失った。
☆☆
酷い目に遭った。ぼくは半日ほど、寮の空き部屋で気絶していたらしい。
馬鹿みたいに生臭い液体(乾きかけだったけど)を頭から浴びて失神しているぼくを見つけたのは、清掃員のチーフだった。
道端のゴミを見るかのようなチーフの視線を浴びながら、ここで何があったのかをぼくは懸命に説明したんだけど、まともに取り合ってはもらえなかった。
追い出されるように帰ってから、シャワーを浴びて、それからあのポケモンのことを調べた。どうもゾロアークとか言うポケモンらしく、ぼくを利用するために幻影を見せていたらしい。
つまりぼくは、ロアチャソという架空のオニャノコを餌に、あのゴミ畜生の食欲と性欲を満たす手伝いをさせられていたんだ! ふざけるな! ぼくの純情とロアチャソを返せ! それだけじゃない! 職も名誉も返してくれ!
……うん、その。清掃もせずに職場で淫行して寝てた、って言われて。クビになった。アカデミーは噂が回るのも早い。その日のうちに学生も、街の人も、ぼくを「サボり精液男」として認識している。
まあ、それはいいんだ。どうせ元々あの仕事は辞めようと思ってたし。悪評なんて引っ越せばそれでお終いだし。ロアチャソに関しては、逆にぼくの理想のオニャノコだと思えば、まあ、なんとか。
ただ、もっと深刻な問題があって。ぼくはここ最近、部屋に引き篭もってずっと悩んでいる。
仕事を辞めるに当たって、作業着をアカデミーに返したんだけど。そこに付けてたペン型カメラを回収して。うっかりそこに映っていたものを見てしまって。
……「女装した雄のポケモンにぶっかけられる」っていうシチュエーションじゃないと抜けなくなっちゃったんだよ!
あの時の絶望感が脳にバグを引き起こしたのか!? 可愛いオニャノコでも、女装した男の娘でも、チソチソが勃たなくなったんだ! それでもこの録画データを見ると、そしてあの時のことを思い出すと、その時だけはちゃんと勃つんだよ!
ネットを漁るとそういうポルノも見つかった! 渋々ポチってここ3日ぐらいリピートしてるよ! でもぼくは、ぼくは、人間のオニャノコとイチャイチャしたかったはずなんだ!
ぼくが何をしたって言うんだよ! こんなの、こんなのあんまりだ!